WEEKEND BOOKS 週末に読みたい本探し:PK(伊坂幸太郎)

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WEEKEND BOOKSは、週末にじっくりと時間をかけて読みたくなるような名書を紹介する連載企画です。Cheeekme編集部が、本当に「薦めたい」本だけをセレクト。思いがけない一冊との出会いに、懐かしい思い出の一冊との再会に。週末は、この本と過ごしてみませんか。

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伊坂幸太郎、ずるいなあ。

これが批判だと誤解してほしくはないのだけれど、PKを読了したあと、いちばん初めに出てきた感想がこれだった。「伊坂幸太郎、ずるいなあ」。なぜならこの作品を、彼以外の人間が発表したとなったら、あまりに挑戦的すぎてきっと酷評を受けるに違いない。そう、思わせられてしまうから。

物語はサッカーのグラウンドで始まる。この作品は『PK』と題されているけれど、決してスポ根小説なんかではないので、サッカーに疎いかたも安心してほしい。この小説は、様々な場面で試される勇気ある決断が時代を越えて伝染していく物語だ。

伊坂幸太郎氏といえば、ミステリー作家として(それも、一風変わった)幅広く認知、そして愛されているけれど、今回に関してはもはやSF(サイエンス・フィクション)といっても過言ではない。ずっるいなあ、と思わせられるのは、そこにもひとつ理由がある。SFといえば超常現象・奇怪な生物・突飛な設定がお決まりで、それらがあるからこそフィクションらしく、非現実的なのが特徴だ。そのみっつの要素を『PK』に関しても満たしているのだけど、なぜかこの作品に関しては、さほど非現実に感じられないのだ。

もしかしたら、近未来にはこういう世界があるんじゃないか。フィクションであると分かっていながら、そう思わせられることは読み手にとって最上の刺激になる(ワクワクさせられるからね)。非現実性と現実性を常に隣合わせにできる、伊坂幸太郎って、すごくて、ずるい。

新たなSFへ、そしておなじみの伊坂幸太郎ワールドへ。ポケットに入れて持ち歩きたい希望のひとつとして、本作を推薦します。

text:Ray Suenaga

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